「いきなりエイズ」という言葉を聞いたことが有るかもしれません。
「いきなりHIV」という言葉も造語であるそうです。
地域医療に貢献、活躍してみえる太融寺町谷口医院の谷口先生が
作り出したことばで、正式にはありません。
谷口先生が最近のHIV感染者について、とても貴重な内容を
伝えていますので紹介します。
エイズとはHIVに感染していて、なおかつ特定23疾患のいずれかを
発症している状態、と定義されています。
「いきなりエイズ」は、エイズを発症して初めてHIVに感染
していることが発覚したケース、ということです。
一方、「いきなりHIV」は、エイズは発症していないが何らかの
症状が出現して診察、検査したらHIV感染症の確定診断が
ついたケースです。
本人にしてみればHIV感染はまさかの結果です。
この「いきなりHIV 」について谷口先生が気がかりにしている
症例を述べています。
「いきなりHIV」の患者さんは、2007年、2008年には谷口医院で
HIV感染の2割程度の割合だったそうです。
残りのおよそ8割は患者さん自身がHIVに感染した可能性があると
自主的に検査を受けに診察に来ていました。
しかしそれ以降の2009年には約半数に、10年にはさらに割合が増え、
この傾向は現在も継続していて、最も多い年では「いきなりHIV」率
が7割にもなっています。
HIVに対する関心が低下し「症状はないけれども危険な行為が
あったから」という理由で検査を希望する人が大きく減少
している傾向を残念で心配しています。
◎ HIV感染の発見が遅れるケース
○ 本人が気が付かない感染
「いきなりHIV」は患者さん自身が感染に気づいてないので
自覚していません。よって自己申告でHIV検査をすることは
ありません。
○ HIVに対する関心が低下
症状が無ければ検査を実施する理由がありません。
潜伏した病状は重篤化していきます。
○ HIV感染の指標は一つもない
医師が「感染を疑う」ことが発見の第一歩ですが、「この症状が
あれば必ず急性HIV感染を疑うべきだ」という指標は一つも
ありません。
他の感染症と同様の発症を呈して、直に治まってしまうため
見逃し易いやっかいな点があります。
ちなみに症状は発熱、倦怠(けんたい)感、リンパ節腫脹
(しゅちょう=リンパ節の腫れ)、皮疹(ひしん)など
一般的な感染症に類似する傾向にあります。
○ 複合感染の(性)感染症があるケース
梅毒、尖圭(せんけい)コンジローマ(=PHV)、B型肝炎などの
治療効果が思わしくないケースは、HIV感染が合併していることが
ときどきあります。
HIVをはじめ感染症は検査をしないと確定できませんので、
思い当たる性交渉があれば自主的に検診するのをお勧めします。
参考ページ
http://mainichi.jp/premier/health/articles/20161014/med/00m/010/007000c